atoiuma’s blog

人生あっという間。マイペースにおもしろく。

小川さやかさんと家入一真さんのイベントに行ってきた

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1年ぶりに下北沢にやって来た。おお、駅が綺麗になっている!前回来たときは再開発かなんかでゴミゴミしていたので驚き。ちょっとぶらぶらしたいが、時間がない。本屋B&Bで行われる、小川さやかさんと家入一真さんのイベントに参加するためだ。

bookandbeer.com

チョンキンマンションのボスは知っている: アングラ経済の人類学

チョンキンマンションのボスは知っている: アングラ経済の人類学

 

この本の観光記念イベント。すごくいいタイトルだ。

 

イベントに参加した理由は、チョンキンマンション(重慶大厦)に以前泊まったことがあって関心があったのと、文化人類学者である小川さんの話が聞きたかったから。文化人類学という学問には以前から興味があった。私が海外に行く理由の一つに、世界を知りたい欲求がある。観光地にはあまり行かず、現地の人の生活や文化に触れ、コミュニケーションすることが楽しい。そんな自分と相性がいい学問なのではないかと。

 

このイベントの存在を知ったのがほんの数日前で、小川さんの著書をまだ1冊も読んでいない状態だけど、なかなか会える機会もないと思うので、えいや!と飛び込んでみた。

 

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本屋B&Bに来るのは2回目。前回は、水谷さんに会いに来たのだった。懐かしい。

hirosweets.hatenablog.com

 

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小川さんは終始笑顔だったのが印象的だった。とてもフィールドワークでアフリカのタンザニアに住んでいたようには見えなかった。家入さんは対照的に落ち着いていて、いいコンビだなと思った。話はとても面白かった。

 

あとでブログに書こうと思ってたくさんノートにメモをしたのだけど、字が汚くてほとんど読めない。しまった!大誤算だ!

 

なので、印象に残っている話を。うろ覚えなので間違っているかもです。

 

タンザニアの人々は、お金をそんなに信用していない。ある時ただの紙切れになる可能性があるからだ。じゃあ何が保険になるかというと、「人」だという。人とたくさん仲良くなっておけば、困った時にきっと助けてくれる。お金よりもずっとあてになる。だから、仲間を増やすことを大事にする。助け合いネットワークを作るのだ。

 

小川さんが現地の長屋に暮らしていた時、ある男性が女性に恋をして、その彼から恋愛相談を受けたと。一生懸命背中を押したが、相手の女性は家柄も良くどうせ自分には無理だと弱気になっている。そんな彼を見かねた周りの人たちが力を貸す。古着屋の人は一番いい古着を貸し、タクシーの運ちゃんは3時間車を貸し、小川さんはお金を貸し、といった具合に。彼は1日にしてハイスペック男子になった(すぐに剥がれるメッキだけど)。

 

そしてデートに誘ったら、なんと成功!しかも、最終的には結婚までしてしまった!なんだそれ!

 

小川さんが相手の女性に聞いた。「なんで彼と結婚したの?メッキなんて一瞬で剥がれちゃった何もない彼となんで?

 

そしたら、彼女は言った。「確かにメッキだったわ。彼は何も持ってない。でも、多くの人が彼を助けてくれた。もし私たちに子供が出来て何かハプニングが起きたとしても、またきっと彼は助けてもらえるに違いない。だからオッケーしたのよ」

 

これってすごく面白い。もし日本なら、こうはいかない。やっぱり結婚となると現実的な問題、つまり「お金」の問題が出てくる(女性の方がリアリストだと聞いております)。年収がいくらだとか、貯金はあるのかとか、ちゃんと年金を払っているのかとか(私の友人はデートして何回目かにそれを聞かれたと言っていた)。つまり、その人自体がどれだけ所有しているかを見る。ところがタンザニアの人は、国全体がまだ貧しいというのもあるけれど、持っているものよりも、どれだけ人と繋がっているか、信用されているかを見るのだ。

 

別の男性との話。小川さんが自分の職業を教授だと伝えると、携帯のアドレス欄を確認し、「やった!教授の友達はまだいない!君はレアだよ!」と、まるでポケモンカードを集める小学生みたいなことを言われたという。そうやって彼らはネットワークを構築し、助け合いの関係を作る。といっても、ヤクザのガチガチの義理人情のような世界ではなく、もっと緩いものだ。普段はこまめに連絡を取るわけでないけれど、有事の際や情報が欲しい時に、そのネットワークにメッセージする。すると、誰かが助けてくれる。そんな世界。とても面白い。タンザニアに興味が湧いた。

 

他にも面白い話がたくさんあった。例えば、家入さんの「5円を5円で売るおじさん」の話。西成だかどこかで、5円を5円で売っていたおじさんがいたらしい。それって、意味ないじゃんって思うのだけど、でもそれによってコミュニケーションは生まれると。「なんで5円を5円で売ってるんですか?」という質問から生まれるやりとりには価値があるんだと。

 

すると、小川さんもそれに同意。そして、プレゼント交換の話をした。もし1000円のプレゼントをもらったら、あなたはいくらのものを返しますか?100円のお菓子にしますか?それとも10万のブランド物のバッグにしますか?そんなマウンティング、しないですよね。きっと多くの人が1000円のプレゼントを返します。でもこれって、1000円を交換しているだけとも言えるわけです。じゃあ意味がないのかというと、やっぱりある。対等な関係性を確認したり、コミュニケーションが生まれるという価値があるのですと。面白い。

 

家入さんの、何か後ろめたいことをした時にコンビニ横にある募金箱に小銭を入れるとプチ懺悔した気持ちになるという話、ムカつくタクシーの運ちゃんに当たったら、あえてお釣りを全部あげちゃう話も興味深った。贈与によって気持ちが楽になったり、相手より優位に立ってみたり。見返りを求めない純粋な贈与は存在するのかなんて話も展開されて、面白いトークショーだった。

 

まとめ

タンザニアの助け合いネットワーク文化の話をする小川さんと、リバ邸やキャンプファイアの事業に取り組む家入さんの相性が良く、視野が広がる話がたくさんあって面白かった。小川さんの著書も是非読んでみたい。

 

アフリカは行きたいと思ったことはなかったけど、小川さんの話を聞いて関心を持った。そう遠くない将来、行ってみても面白そうだ。まあその前に就職してお金稼がなあかんけど!