atoiuma’s blog

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機嫌よくあれよ君

78冊目。

上機嫌の作法 (角川oneテーマ21)

上機嫌の作法 (角川oneテーマ21)

 

 2005年の本。前回に引き続き、齋藤孝さんの本を。

 

もうタイトルからしてワクワクしかないんだけれど、読んでみたらそれは間違っていなかった。

不機嫌さは、「なんらかの能力が欠如しているのを覆い隠すため」だとしか考えられません。p11

 

不機嫌が許されるのは、赤ん坊か天才だけ p16

 

不機嫌な人を尊重するような社会を容認してしまっては、歯止めが利かなくなります。不機嫌というものは何の力でもないことをはっきりさせ、社会に認識してもらいたいと思います。 p18

最高である。痛快である!著者の強いメッセージとそこに込められた怒りを感じる。

 

人と人が一緒に何かをする上で、不機嫌というのはマナー違反だ。それでも思春期の学生や中年男性をはじめとして人は不機嫌になり、それを隠さない。多くの人はそれを注意することなく、ただ受け入れる。気を遣って、恐れて、構って。不機嫌になった奴の方がなんだか知らないが得をするようになっている。それ、あかんやろと。

 

著者はもともと不機嫌が癖になっている人で、得意技は他者への罵詈雑言らしい。そんな彼が、教壇に立つ上で相手に話を聞いてもらうために上機嫌の必要性を感じ、トレーニングして身につけたと。上機嫌の技化である(著者がよく使う「技化」という言葉が私は好きだ)。いいことがあった時に上機嫌、悪いことがあれば不機嫌なんてのは当たり前のこと。そうではなく、どんな時にも意識して上機嫌になる。それが上機嫌力だ。

 

今では、日々の講演会や授業においても常に上機嫌をキープ。授業を受けた学生から、「先生は4年間ずっと上機嫌を維持されていましたね。ずっと感心していました」と言葉をもらえるほどになった。上機嫌は、身につきます

 

面白かったのは、著者があまりに上機嫌なので、文壇バーと呼ばれる接待の話が一切来ないということ。気難しい作家の機嫌を取るために招待される魅惑的な世界を、著者は上機嫌であるが故に受けられない。ふざけるなと。これには笑った。でも本当にそうだ。不機嫌が得する風潮になっているのは良くない。

 

では、どうしたら上機嫌が身につくのか。

 

それには身体を使うと手っ取り早い。例えば、拍手やハイタッチをする。恥ずかしくてもやってみると随分と気持ちが上がっていく。また、しっかりと日々エネルギーを消費して循環を良くすること。人と一緒に上機嫌でいようとするともちろん疲労するけれど、それは正しい疲れであって、気持ちよく眠れると。しかもそれは訓練を続ければマラソンのようにどんどん時間を伸ばすことができると。声を出し、呼吸し、エネルギーを外に出すことで循環を良くすれば人は上機嫌に向かっていく音読やカラオケなどもおすすめ。

 

そういえば、日本人よりも外国人の方がエネルギッシュで上機嫌な印象がある。日本人はシャイで表情の動きが少なく、身振り手振りもあまりしない。エネルギーの循環がうまくいってないのかもしれない。

 

上機嫌サークルというものを作りたくなりました。上機嫌な人、上機嫌であることに価値を感じている人、上機嫌になりたい人が集まってご飯を食べたりお茶できる環境があったら面白いよね〜。人はやっぱり環境から影響を受ける生き物なので。

 

良い本でした。